こんにちは、とりかなです!
突然ですが、あなたは今、こんな悩みを抱いてはいませんか?
「仕事に追われて自分のやりたいことができない…」
「人生このままでいいのかな…」
「でも安定した道は選びたいし…」
今の時代、多くの方が抱いたことのある悩みですよね。
でも、「安定」とは一体何なのでしょう?
経済面でしょうか、それとも社会的な立場でしょうか。
しかし、空想上の価値観である「安定」を選んだ結果、何よりも大切な現実の存在である「自分」が壊れていく。
これって何かがおかしいと思いませんか?
今回は、そんな人生の悩みを解決してくれる本をご紹介します!
「最強!」のニーチェ入門 幸福になる哲学
今回紹介するのは飲茶さんの著作、『「最強!」のニーチェ入門 幸福になる哲学』(河出文庫)です!
書籍紹介
幸福に生きるためのニーチェの哲学を、著者の飲茶さんと表紙の女の子「アキホちゃん」の会話形式で解説。
その内容を、冒頭で紹介したような悩みを抱く私たちの日常に当てはめて語ってくれます。
特筆すべきはそのわかりやすさ。
哲学というと、「難しい」「専門的」といったイメージが先行しますが、本書には前提知識は全く必要ありません。
私たちの疑問は哲学を全く知らないアキホちゃんが代弁してくれます。
そして何より、飲茶さん自身がニーチェ哲学で人生を変えた経験をお持ちのため、その言葉には生きた熱量を感じます。
もちろん、その経験も本書で紹介されています。
「人生に悩んでいる」「気楽に哲学を学んでみたい」という方には、特にオススメの一冊です。
本書を読んでこう変わった!
僕はライターとして活動しています。
しかし、
「やっぱり安定した就職をすべきかな…」
と悩むことは多々ありました。
その悩みを解決するヒントを得ようと手にしたのが本書です。
本書を読んで、「安定、普通」といった常に変わり続ける価値観に自分の人生をゆだねるのはどうなんだろう、という考え方が生まれました。
ここが重要ポイント!
この本を読み進めるにあたって重要なテーマ。
それは、「実存」です!
「で、でた~、哲学っぽい難しい用語…」
僕も最初はそう思ったんです。
しかし、この一文が全て解決してくれました。
は?実存って、単に「現実の存在」を、ただカッコ良く、業界人っぽく言っただけなんですか!
(太字・下線は引用者による)
飲茶『「最強!」のニーチェ入門: 幸福になる哲学』 (河出文庫) p.39 アキホちゃんのセリフより
どうでしょう、これだけで「実存」がかなり身近なものになりましたよね。
そして、本書で紹介されるニーチェの哲学は何よりも「実存」の私たちに焦点を当てているんです。
内容紹介
ここからは、僕が特に読んでほしいと思った箇所を紹介していきます!
「理想の人生」は本当に自分の価値観?
たとえば、アキホちゃんが、自分の人生をこう思い込んでいたとしよう。「私には運命の恋人がいる。その人と二〇代のうちに出会って、結婚して子供を作って温かい家庭を作って幸福に生きる。それが私が生まれてきた意味だ」と。
(太字・下線は引用者による)
飲茶『「最強!」のニーチェ入門: 幸福になる哲学』 (河出文庫) p.50
先生は超能力者ですか? まさにそういう人生を夢見てきましたが……。
飲茶『「最強!」のニーチェ入門: 幸福になる哲学』 (河出文庫) p.51 アキホちゃんのセリフより
アキホちゃんは上記のように、理想の人生を描いています。
でも、その理想は本当に「自分の理想」なのでしょうか?
メディアや周囲の人を通じての「与えられた価値観」ではないでしょうか?
「安定」という言葉もそうです。
大学を卒業し、大企業に就職すれば安定した人生…。
このような価値観は多くの人の意識に刷り込まれていますが、これは人間に本来備わっているものではなく、「与えられた価値観」です。
この価値観自体を否定しているわけではありません。
しかし、この価値観によって「不幸だ」と感じることは大きな問題です。
なぜ問題か、次の章で詳しく説明されます。
「神は死んだ」
一度は耳にしたことのある言葉ではないでしょうか。
ニーチェといえばこれ!って感じの言葉ですね。
突然ですが、みなさんは神様を信じていますか?
現代の日本においては、日々神様を意識している人は多くはないと思います。
でも、古代から1000年以上の長い間、神は当然のように存在すると考えられていました。
もはや、
「え、神様がいないって何言ってるの?」
といった世界です。
時が進むにつれて、科学や考古学の発展によって神の存在が疑わしくなっていったんです。
1000年以上、絶対的だと思われていた「神」という価値観でさえ、壊れていきました。
理想的な人生という価値観なんて、宗教の歴史に比べれば小さなもの。
いつ壊れてもおかしくありません。
コロナ禍によって社会が変革期を迎えている今、私たちはそれに直面しているはずです。
いつかは壊れる価値観のために、実存である自分が苦しむ。
これは、本当に人間のあるべき姿なのでしょうか。
著者、飲茶さんの壮絶な過去
最終章では、吃音症(※)に苦しんだ飲茶さんが、ニーチェの哲学に出会って人生が変わった過去が紹介されています。
※吃音症→言葉に詰まって話せなくなる症状
当時の飲茶さんは、話す、挨拶する、といったような「できて当然」のことができない自分に、「死にたい」と思うほど苦悩していたそうです。
しかし、
「『できて当然』という価値観も、架空のもの。」
といった気持ちを持つことで、その苦悩を和らげることができたそうです。
「挨拶はしなくてはならない」「人前では明るく話さなくてはならない」「友達の冗談には笑って受け答えをしなくてはならない」、それらが、今たまたまこの時代のローカルな「架空の価値観」だなんてどうして気づけるだろうか。
飲茶『「最強!」のニーチェ入門: 幸福になる哲学』 (河出文庫) p.216
「いや、さすがに挨拶くらいはできなきゃいけないのでは…」
という声も、事情を知らなければもちろんあると思います。
しかし、相手の反応は変わらなくても、価値観を疑うことで飲茶さんの心は大きく変わったそうです。
きっとあなたの頭の中には、それまで社会から押し付けられてきた価値観(常識)がたくさんつまっていることでしょう。しかし、あなたの実存をないがしろにする価値観は、それがどんなに正しく見えようとすべて間違いです。
飲茶『「最強!」のニーチェ入門: 幸福になる哲学』 (河出文庫) p.255
おわりに
今回は、飲茶さんの著作、『「最強!」のニーチェ入門: 幸福になる哲学』をご紹介しました。
いかがだったでしょうか?
今、あなたは自分の人生に満足できていますか?
架空の価値観によって、自分自身を苦しめたり、縛り付けたりしていませんか?
ニーチェの哲学は、現代の私たちの世界を予見していたかのように突き刺さります。
本著は、哲学に全く触れたことがない初学者を、その魅力的なニーチェの世界にいざなってくれます。
この記事で興味を持っていただけたら、ぜひ手に取って読んでみてください。
コメント